世界のスタンダード?

18歳に選挙権を与えることについての説明には
「世界のほとんどの国が18歳には選挙権を持っています。これが世界のスタンダードなのです。」
のようなものが存在します。この論調には気をつけないと、
「そうか、じゃあ日本も世界水準になったんだね、やったー。」
と手放しで喜んで本質を見失います。

何のために年齢が引き下げられたのかがこれでは全く見えません。

私は18歳の選挙権にあまりメリットを感じていません。
一部の18歳は今の政治を意識はするでしょう。「投票に行かなければ」という義務感を感じるかもしれません。
しかし、どれほど人が、今の日本の社会を理解しているのでしょうか。周りに政治の話をできる人がいますか?(自戒の念もこめて。)

政治と自分の生活があまりにもかけ離れているのです。


ここからは、私の勝手な想像です。
安倍政権がこのタイミングで選挙権を18歳に引き下げたのは、何かねらいがあるのだと思っています。
つまり、政治のことをよく知らない、それでいて素直で、分かりやすいことに対して疑問を持たずに「うん」という若者を有権者にするということです。憲法の改正を進めようとしている現政権は、きっとこう言うでしょう。

「世界にも、憲法を改正している国がいくつもあります。つまり、憲法改正はおかしなことではないのです。これが世界のスタンダードなのです。」

「今、世界情勢が変化し、日本もいつ何が起きてもおかしくありません。憲法を改正して、他の国と協力して世界の平和を守っていけるようにしなければいけません。世界の国々はテロと戦っています。日本も協力して、テロを根絶しましょう。これが世界のスタンダードなのです。」

すると、簡単に憲法改正に賛同する国民が出来上がる。
私が恐れていることは、考える時間を与えず、短期間に「早くしないと!」と決断を迫り、世界の活動に足並みをそろえることをやたらと強調することです。
ちょっと説明を聞けば、何も知らなかった高校生なら
「あれ、日本もしかしてやばいんじゃね?」
とか、どんなに考えても
「武力はないと今はダメだ。」
と思うかもしれない。

私は憲法の改正が悪いと言いたいのではありません。ちゃんとみんなが憲法を理解した上で、必要な改正をすればいい。
しかし、一度変えてしまった憲法は簡単には戻らないと思った方が良いでしょう。何せ、憲法改正にはものすごい時間と労力をかけるのだろうから。
だから、反対や、せめて「ストップ」が言えないと大変なのです。

私は現政権が素直になびく18歳をターゲットしようとしている気がしてなりません。

確かに、真剣に考えるプロセスの中で
「武力は保持していた方が安心」
という考えにはぶつかることは当然あり得ます。しかし、それを結論として思考を止めて欲しくない。

そんな武力に頼らない世界平和の実現方法が大切であり、私たちがそのような平和の価値について世界に発信し、広めていくリーダーにならないといけないのではないでしょうか。

そのために、私たちは常に学び続け、世の中の様々な問題に取り組み、解決していこうというしなければ、平和は訪れないと思います。

それは、決して遠い世界の話ではなく、身近に存在する、だけど見えていない現実の話です。