PROFILE


管理人:菊池 篤(キクチ アツシ)

出身地:茨城県

職業:中学校・高等学校教諭

『学び合い』と生物教育

 私は2011年4月より教員として働き始めました。分からないことだらけですが、様々な刺激を受けて日々充実しています。

 

 2012年頃、東京都生物教育研究会などに参加しているうちに先輩教員から『学び合い』というものの存在を知らされました。

  『学び合い』は上越教育大の西川純教授が提唱しているもので、その名の通り生徒同士が学び合う事を通して、「一人も見捨てない社会」を実現するといものです。 『学び合い』を実践している方の話を聞けば聞くほど、僕の中でストンと落ちるものがありました。とにかくやってみなければわからない。というわけで、2012年度の3学期頃から『学び合い』を実践することにしました(過去の実践についても今後別のページに掲載したいと思います)。とにかく生徒を信じ、任せる。やっていくうちに様々な発見がありました。結局は自分が一番学ぶことになっていることに気付き、さらにそれが自分の教育観や人生観を変えることにつながっていることは間違いありません。だから、僕は『学び合い』をお勧めします。

 

 『学び合い』の考え方については西川教授の著書「クラスが元気になる!『学び合い』スタートブック」、「クラスがうまくいく!『学び合い』ステップアップ」を読んでいただくか、西川教授のブログHPを見ていただくとわかります。ぜひご覧ください。

 

 『学び合い』を実践している方々はそれぞれ現場で課題意識を持ち、日々教育について考えています。小学校、 中学校、高校、それぞれの違った教育現場で試行錯誤しながら、生徒の幸せを願っています。私もその一人と認識しています。このHPの一つの目的は『学び合い』を記録し、多くの方とそれを共有することです。管理人が『学び合い』の考えに基づいてどんな教育をしているのか、可能な限り発信していきたいと思います。教育現場ではたらく方々に何かしらのヒントが与えられたらと思います。 このHPは全世界に公開されているものですので、学校の生徒ももちろん見ることができます。大人も子どももみんな同じ人間。一緒に教育について考えたり、様々な課題を解決していけたら幸いです。


『学び合い』の教育観

 『学び合い』と言うと、単に「学び合う」という協働学習の一手法のようにとられがちですが、その捉え方は『学び合い』の本質ではありません。『学び合い』は「方法」ではなく「考え方」です。

 

 以下の教育観によって成り立っています。

① 学校観

 学校は、多様な人とおりあいをつけて自らの課題を達成する経験を通して、その有効性を実感し、より多くの人が自分の同僚であることを学ぶ場である。

 

② 子ども観

 子どもたちは有能である。

 

③ 授業観

 教師の仕事は、目標の設定、評価、環境の整備で、教授(子どもから見れば学習)は子どもに任せるべきだ。

 

 ここに、私がHPをつくるもう一つの目的があります。それは「学習環境の整備」です。多くの方が、「学習環境の整備」というと「落ち着いて、集中できる場」と捉えがちですが、私はそうは考えません。「学習環境の整備」=子どもたちが主体的に学べるような教材・ツールがそろい、その中で目的を達成するために、自由に対話や調べものやできる空間をつくることです。このHPが生徒が自由に学ぶための一助になればと思っています。現代の高校生の多くは携帯電話を持ち、近年ではスマートフォンが一気に普及する中で、これを学習のツールとして使わない手はないと思っています。


ICT活用、言語活動、協働学習、反転授業、アクティブラーニング...

 近年、教育業界には大きな動きが見られます。文科省中央教育審議会(中教審)は2014年12月22日の答申で

子供の発達や学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築について(答申)(中教審第178号)
新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(答申)(中教審第177号)

 を発表しました。今後の教育の在り方を大きく変えていこうという動きが高まっているのです。そのような中で、「ICT活用」「言語活動」「協働学習」「反転授業」「アクティブラーニング」などの言葉がよく聞かれるようになりました。実態がよくわからず、言葉だけが一人歩きしているようにも感じますが、これらもあくまでひとつの手法です。『学び合い』はこれらを全て包括しています。要は、「なんでもいい」のです。何より大切なのは子どもたちが「主体的」「自律的」に学ぶことができるようになることだと思います。これは、生きていく上で最も大切なことなのではないでしょうか。

 

 「反転授業」とは、従来の教育に見られる、学校の授業にて新たな知識を獲得し、それを実生活で応用していくようなシステムをまさに「反転」させたものです。実際には情報端末を用いた家庭学習にて、新たな知識を獲得し、学校ではその知識理解を言語活動などで深めていくというシステムです。「反転授業」も結局は「学習環境の整備」によって実現したもので、学習自体は子どもたちが主体で行われています。決して子どもたちに「強制的」に家庭学習をさせるようなことはするつもりはありません。あくまで、「学習環境の整備」をして、後は子どもたちに任せる。そのような学校教育を目指したいと思って、このHPを運営しています。

 「アクティブラーニング」とは、従来の教員からの一方向的、知識伝達型授業ではなく、生徒同士が能動的な活動メインの授業を総称したものです。文科省の用語集では、グループワーク、グループディスカッション、ディベートなどが具体例で挙げられています。これは教員がグループを作らせたり、時間を設定したりすることで成り立つ活動です。

『学び合い』ではグループを作らせたり、時間を設定することさえ生徒に任せます。生徒集団が「主体的」「自律的」に学ぶためには、教員はできるだけ何もしない方がいいです。教員に必要なのは、「なぜ生徒にそこまで任せるのかの価値を語るための理解」「教員自身が子どもから学ぼうとする姿勢」だと思います。子どもは大人より有能です。こちらの想像以上に、子どもはいろんなことを吸収し成長しています。逆に、大人があぐらをかいていてはまずい。教員の資質として「学び続けること」が求められています。

もちろん生物のすばらしさも伝えたい

 生物関連の研究は凄まじいスピードで発展しています。それと同時に、遺伝子検査、iPS細胞、ゲノム製薬、脳科学など、私たちの日常生活により身近な存在になってきています。だから、知っておいた方が今後役に立つ可能性は高いです。

 私が生物学が好きになったのも、高校の時でした。当時の「生物Ⅱ」で遺伝子、DNAなどを扱う「分子生物学」の分野に非常に感銘を受け、大学でも分子生物学を専攻しました。逆にマクロな視点で生物界を捉えていく、生態学分野は苦手意識がありました。しかし、それも含め多くの先輩方のおかげで、とにかく「生物ってすばらしい!」と思えるようになりました。このすばらしさもこのHPで伝えたい。

 学校の勉強が「役に立つ」「役に立たない」なんていう話は建設的でないです。最終的には学校で学んだこと全てがみなさんのより良い人生につながると考えています。私も日々勉強中です。このHPを通じて、生物の素晴らしさとを伝えていけたらと思います。さらに、「どうして学校で生物を学ぶの?」も考えられたらと思います。

最後に

 このHPは学校教育に携わる方だけではなく、様々な方に見てもらいたいというのが私の願いです。それは、『学び合い』の考え方が未来を担う子どもたちの幸せにつながると本気で思っているからです。

 『学び合い』を「理想論」とか「哲学」、極端な場合は「宗教」だと突っ込まれることがありますが、これに関しては私は将来『学び合い』によって育った子どもたちが理想の社会を現実にすると考えています。そして強く願っています。

 世の中には「常識」といわれるものが多々ありますが、「常識」は「本質」を隠してしまうことがあります。良く考えて生きていかなければ、本来の目的が見失われてしまう。それを「思考停止」と呼んでいます。「思考停止」ほど人間を成長させないものはない。と私は思っています。

 

 なんて言ってますが、私を知っている人は自分がかなりいい加減な人間なのはお分かりの通り。面白いことにはすぐ食いつき、すぐ飽きる。優柔不断で決定力に欠ける。「ダメダメじゃん」ってよく言われる。少なくとも上に立って引っ張っていく力は今のところ持ち合わせていません(笑)。まぁいいか。で済ませてしまう自分もいます。そんな私ですが、今後ともお付き合いください。