20150129-6 授業の振り返り

 昨日は、アンケートの結果を配ったあと、ひたすら自分が話をするという形で授業が終わってしまいました反省します。しかし、毎回授業をすると色々な発見があります。昨日の授業の中で特に印象的だったのは、T君との対話です。「話を聞いててイライラする。先生だから言わないけど、同級生にいたらいじめてるわ」という言葉。おそらく、普通の大人だったら「なんだとコラ」と怒るか、そもそもそんなことを言わせない空気があるでしょうね。しかし、自分は「普通」ではないので、「最近の南葛にはめずらしく、骨のあるやつがいるなー」と感心してしまいました。自分がどのように見えるかをはっきり言ってもらえたことと、言いたいことを思ったままに言ってくれたことがすばらしい。さて、結局私の考えていることを授業で話をしても、「そんな話ききたかぁないよ」と言う人もいると思いますので、授業ではちゃんと「科学と人間生活」を学ぶとして、伝えたいことはこちらに書くことにします。これを読むか読まないかも、もちろん君たち次第です。それと、前もって言っておきますが、これは私個人としての考えや意見です。みなさんは、これに賛成するも、反対するも自由。何も思わないのも自由。

 

勉強は嫌いなもんだ論争

昨日お話した、「勉強なんてみんな嫌いなもんだ。それを我慢してやるのが学校だ」という人の意見。これに異を唱えたいと思います。おそらく、「勉強なんて好きな人いるの??」って思う人いるでしょ。そう思うのは普通のことです。自分もそう思っていました。小中高と親には「勉強しなさい」と言われ、学校では静かに授業を聞いて、ノートを取って、テストでいい点数を取ることが「あたりまえ」と思っていたから。そして、たまたまテストの点数が良かったから、「入試で高得点を取れる人が集まる」高校に入学し、高校レベルの授業でざせつを味わい、その中で生物の授業だけが面白くて、受験勉強を頑張って(1年浪人してね)、大学に行きました。どうして勉強するのかなんて考えたこともなかった。しかし、勉強って本当は面白いものなんだと最近になって気付くようになりました。逆に言うと、学校が勉強をつまらなくしている可能性があることも気づいたんです。

多分、みなさんの中には小中学校の先生に「人の話を聞きなさい」と注意された人がいるでしょう。また、小中学校に通っていくうちに、授業は席について、前を向いて、おしゃべりをせずに受けるものという「常識」が身についてしまったのではないでしょうか。授業のやり方はあくまで「方法」です。みなさんは、学校に通ううちに、「方法」を強制されてきたことになります。昨日も話ましたが、人によって価値観や感受性は様々だから、この「方法」を一方的に押し付けられるとそれにしっくりこない人はとても辛い時間を過ごすことになります。本来、新しい知識を身に付けたり、何かの課題を解決していくことは楽しいはずなのに、これではそれが嫌になるのも当然だなと思うんです。みなさんは、すでに高校生ですから、中々この感覚を取り戻すことに苦労するかもしれませんが、せめて「こんな考え方もあるんだなぁ」くらいに思ってもらえたら良いと思います。

今自分は歴史とか、政治経済とか、社会のことを勉強しています。これは、皆さんが思う勉強ではなくて、自分が「今これ必要だな」と思って自ら始めた学習です。暗記の苦手な自分は、中高と社会の教科が苦手でした。でも、今は学ぶ意味を感じているし、楽しいと思えるからどんどん勉強します。

 

法律と選択

 学校は法律で定められた場所です。小学校・中学校はみなさんも知っている通り、「義務教育」といって、必ず行かないといけない(正確には保護者が行かせないといけない)と法律で決まっています。なので、何か学校に通えない事情がない限り、日本全国の6~15歳の人は必ず小中学校に行っているはずです。なぜそんな法律があるかというと、日本の社会に生きるために必要な「最低限のこと」を身につけさせて、「日本人ならこのくらいは知っておこうね」というものを日本国憲法を作った人が目指したからです。なので、日本人のほとんどの人は、日本語の読み書きやある程度の計算はできます。

  では、高校はどうか。高校も法律で定められた場所です。しかし、高校は義務教育ではありませんので、通うか通わないかは皆さんの次第です。そして、高校には卒業資格を得るための条件が定められています。その中に、「単位」というものがあり、定められた科目の単位を習得すれば、高卒の資格が得られます。学校で単位を取るためには、法律で定められた授業時数のうち、何割出席しないといけないと、学校で決められています。だから、欠課時数が規定の回数を越えると、単位を認められないことになります。もし、皆さんの中に、「大学や専門に行くためだけに高卒の資格が欲しい」という人がいるなら、高校に通わずとも大学、専門学校に行く方法があります。それは「高卒認定試験」というものをクリアすることです。自力で勉強をして、高卒認定試験に合格し、大学や専門学校に進む人もいます。

 それにしても、なぜ皆さんは高校に通っているんでしょうか?何のために勉強しているんですか?中卒で働いている人は、社会でそんなに不利な立場なんですか?もし、そのような考えを持っていたら、この先に「みんなが幸せな社会」はないと思います。一番大事なのは、一人ひとりが「多様」で、そんな多様な人たちと折り合いをつけて生きていくことです。間違ってはいけないのが、「みんな同じ考え、価値観を持っている」ということは絶対にないということ。自分とは価値観が異なる人とも折り合いをつけて付き合っていくことが、自分にとって一番「得」です。例えば、普段はあまり関わりのない友達が困っていたら手を差し伸べてあげる、逆に自分が困っていたら、助けを求められるそんなつながりが、必ず自分の人生を「得」にしてくれるはず。そして、それを学ぶのが「学校」ではないでしょうか。

 

いじめの科学

もう一つだけ。いじめは許される事ではありません。しかし、依然としていじめは起きています。そして、これに対する大人の対応は「いじめるやつはとんでもない人間だ、反省しろ」です。これは犯罪を犯した人が受ける社会からの批判と同じです。そして、犯罪が多くなると犯罪の取り締まりを強化したり、新しく厳しい法律を作ったりします。学校のルールも同じです。生徒が何か問題行動を起こせば、先生の取り締まりが強くなり、新しいルールができます。そして、学校内の生徒の選択権はどんどん無くなっていきます。これは学校全体の規律や秩序を保つための一つの方法と言えますが、これだけでは、根本的な解決になっていません。どうしたら、根本的な解決になるでしょう。これは、社会のあり方にもつながります。考えてみてください。今日はこの辺で。