2015/02/21・22 【日本生物教育学会】センター試験分析

問題毎の分析ではなく、今回のセンター試験の何が問題だったかを、批判を覚悟で厳しく書こうと思います。これは、自分への自戒も込めています。あらかじめご了承ください。

【前置き】
学習指導要領は日本の教育に課題意識をもって、未来の社会を見据え、しっかり「目的」を議論して作られたもの。もちろん、その時によって必要な教育は変わるから「常に議論し続けなければならないもの」と認識しています。
→教科書は学習指導要領に基づいて作られたテキストです。
→センター試験は教科書をもとに作られた問題です。

【問題点と改善策】
学習指導要領の重要性とその理解不足
① 学習指導要領が根本的に変わったことを多くの関係者が「ちゃんと」理解していない。
② 学習指導要領に則った教育をしなければならないことを「ちゃんと」理解してない人が多い。
③ 学習指導要領を読んでいない、どうでもいいと思っている人も一部にはいる。
④ 自分が受けてきた教育、自分がやってきた教育から抜け出せない人が多い。
改善策
学習指導要領は「上」から降りてきたものという認識が強い。「上」から降りてきたものを、自分たちで咀嚼する必要がある。
そのために、さまざまな人と対話・議論をする。自分なりに形にしてみる。生徒の将来を本気で考えた学びの確立。
現在、一部のメンバーはそれで動いています。これが、情報の集まる東京だけで終わってはいつまでも変わらない。地方も巻き込まなければ。

教科書のジレンマ
① 教科書会社は「売れる」教科書をつくろうとする。
② 教科書が売れるかどうかは学校教育の質保障とは別の次元の話である。「売れる」教科書=「良い」教科書とは限らない。それは、いままでの教科書に近い方が教員は使いやすいから。
③  しかし、教科書を「売る」ことは会社にとっては死活問題である。結局、保守的な会社は従来型を引きずった教科書をつくってしまう。
改善策
教科書の改善。内容の精選。旧課程から引きずっているものは特に。それを見て大学入試センターが問題をつくる。
作問者は専門分野を持つ大学教員。大学入学者に求める力の共通理解はあるか。

うれしくないフィードバック
① センター試験の結果からさらに現場教員、教科書会社、受験業界…etc が対策を考える。(僕としては)うれしくないフィードバック。
生物を「ちゃんと」理解した(させた)子たち(教員)が「自分のやってきたことは間違いだった」とならないために。
知識・暗記重視で勉強してきた(させてきた)子たち(教員)が「やっぱりこれでいいんだ」となり、大切なことに気づかぬままにならないために。
→うれしくないフィードバックでは一向に学びの受験体質は変わらず。
→大学は受験テクニックで勉強してきたものを求めていない。大人になっても学び続けられるような「学びのあり方」をもっと考えていかなければ。

起こりがちが対立構造
本当に変わらねばという意識があるなら、問題点の指摘だけではなく、より建設的意見・提案を。
対峙してしまうとお互い引けなくなるのが常。
「こんなセンターやっていたら、ろくな大学生来ないぞ」というメッセージ
「あ、変えなきゃいけない」と思わせるメッセージ
「具体的にこうすれば良くなる」など相手を助けるメッセージ
の発信。
対立ではマシにはなるにしても、根本は変わらない。したたかに。

なんて、自分は大学受験の指導を全くしていないので、受験指導をされている方々のご苦労を知らずに申し上げました。
気に障ったら大変申し訳ありません。