地方創生における学校の役割

シンポジウム「地方創生 大学の役割と可能性」の記事はメモが多かったので感想だけもう一度載せます。


   僕は「なぜローカル経済から日本は甦るのか」冨山和彦著(PHP新書)を読んでから、地方創生にも意識を持てるようになりました(僕の田舎も同じことが言えるはずなのに…今更です)。特に「今後日本は人類が経験したことのない人手不足に陥る」という言葉に大変な焦りを感じました。どうなってしまうのだろう…。そこから、今日のシンポジウムの参加に至りました。

 高校の教員目線での感想です。このシンポジウムは「大学に何ができるか」に主眼を置いているのですが、高校や中学でも同じことが言えると思います。これから必要なのは「学校や大学がもっと地域と密接な関係を持ち、地域の人は教育活動の支援を、学生は地域貢献をする。」ということです。学校や大学は学生(ここでは児童、生徒、大学生)にそのような活動をするきっかけや活動しやすい環境を提供する組織として存在していく。その中で、学生たちが体験的に今の社会に問題意識を持つようになる。

 大学の位置付けはその課題を「学問」として取り込むこと。どなたかがおっしゃっていた「地域の研究資源を自らの研究課題に取り入れる」ということでしょう。「研究も盛んにし、地域にも貢献できる大学」これは、教員の活動だけではどうにもできないものです。問題意識をもった学生が立ち上がらなければ。

 結局は、今の日本がもつ教育の課題につながります。「考える力」や「主体的な学び」、学生が必要とする力を現場で育む。学びは「課題の発見」から始まる。「教育の力」苫野一徳著(講談社現代新書)では学びの「個別化」「協働化」に加え「プロジェクト化」を提唱しています。プロジェクトを通じて、個々人に必要な力も、他者との折り合いのつけ方も学ぶことができる。そこに、地域の力が加われば最高ですね。現場での体験の価値をもっと知ってもらうべきかもしれません。

 地域の活性化には法政大の学長が言っていた「若者、よそ者、ばか者」が必要です(ばか者は「常識にとらわれない変わり者」のことです)。成功しているところは、この三者が揃っているそうです。あとは地域にそれを受け入れる体制があるかどうかですね。

  今回のシンポジウムは実例として各大学での取り組みと、学生の活動を沢山見ることが出来ました。既に動き出している学生が多くいることに驚きです。これが「敷居の高いもの」では、中々動き出せませんが、紹介していただいたものは決してそうではありませんでした。学生がこれまでの常識にとらわれずに、既存のものから新しい価値を見出している。ものが溢れ、便利な都会から、何もない不便な田舎に新しい価値を見出す。そうやって若者の価値観もかなり多様化してくるでしょうね。