2015/06/14 【教師教育学勉強会】授業実践のリフレクション

教師教育学―理論と実践をつなぐリアリスティック・アプローチ

 教師教育学のコルトハーヘンが提唱しているALACTモデル。その中にある、リフレクションの方法の1つに8つの質問があります。

自分と相手のそれぞれが

「何をしたか(Do)」

「どう考えた、思ったか(Think)」

「どう感じたか(Feel)」

「何がしたかったか(Want)」

これを表にして、自分と相手との間にどのような齟齬があるのかを振り返るのです。

もっと簡単に言えば、「自分は本当は何がしたかったのか」と「相手は何がしたかったのか」を行動レベルから振り返り、自分の奥底にある感情や想いに気付き、どうしたら自分がより良くなるのかを考えるためのきっかけを得るものです。

 

今日はこれを何パターンかの授業の動画を見て「先生」と「生徒」に分けて考えるというワークをやりました。

授業実践をリフレクトするのは初めてです。映像の中の人の内面を読み取るのは難しい。中々臨場感が伝わりませんからね。でも、参加者の方の中には感じ取れる人もいました。

生徒のちょっとした仕草さ、表情から「Think」「Feel」「Want」を感じ取る力。正確に感じ取るためには、心理学を学ばないとですね。その能力はもちろんあった方が良いのかも知れませんが、まずは「感じ取ろうとする」事からでしょう。今回の勉強会はその練習と勝手に位置付けました。

ワークをやってみて面白いと感じたのは、うまくいっている(ように見える)授業は、先生も生徒も似たような、ポジティブな「Do」「Think」「Feel」「Want」になるということです。見たのはマイケル・サンデルの授業なので、サンデルも聴衆もワクワクしてるし、自身満々だし、アメリカの文化的なものも関係はしているとは思うのですが、この空気感が授業中にあったら良いですね。自分の授業はどうだろう…というのをこれからやっていければいいですね。

相手の内面を感じ取れないにしても、「感じ取ろうとする」事の大切さに気付くために、このリフレクションは大いに使えそうです。今週は研究授業週間なので、紹介してみようと思います。

 

ところで、実はこのリフレクション「生徒にも使えそうだな…」と妄想していました。私は、比較的すぐに生徒に投げかけてしまいます。「どしたらいいと思う?」と。つまり、相手が何を考えているのかを読み取るのではなく、聞いてしまうのです。オーセンティシティな態度で。でも、きっと先生と生徒の関係の中で、率直に内面を打ち明けられる生徒は少ないと思います。なので、授業の最後に「Do」「Think」「Feel」「Want」を書かせてみようと思います。

 

研究授業で使うにしろ、授業で生徒に使うにしろ、気を付けなければならないのは相手の「コンフォートゾーン」を脅かすことです。このリフレクションは、深く掘り下げると相手が「ここまで表にだしたくない…」というところまでいってしまう可能性があるということです。

一番大切なのは「安心・快適」をちょっと超える「挑戦」の積み重ねだと思います。

 

もう一つ、どんな理論を実践に落とすにしても、必ず「形」があり、まずはそれを忠実に実行することから始めると思います。『学び合い』も初めはそうです。しかし、すぐに様々な疑問が生まれてくると思います。その時に「やっぱりこれは使えない」と捨ててしまうのではなく、自分なりにアレンジしたり、引き出しとして持っておくことで大いに役立たせることはできると思います。そうやって、やっていくうちにやはり「形」通りが一番シンプルで間違いないことに気付く。どうも「形」にこだわりすぎると本来の目的、本質を見失う気がします。

 

賢い人ほど「で、目的は?」って聞きますからね。私は、まだまだ「で、目的は?」と聞かれてしまう人間ですw